Gemini 4 Argon コーディングテスト:8つの課題と隠しテスト
8つの課題、各1回の呼び出し、隠しテスト。所要時間、料金、そして唯一の失敗です。
このページの内容
- 検証方法
- 8つの課題
- 課題1:区間マージのバグを直す
- 課題2:トークンバケットのレートリミッター
- 課題3:ヒット数とミス数を数える LRU キャッシュ
- 課題4:挙動を変えずにリファクタリング
- 課題5:ログ行を dict にパースする
- 課題6:時間の整形と解析
- 課題7:会議室の空き時間を出す
- 課題8:同点時の規則付き最短経路
- 結果:通過数、時間、料金
- 使った人の声
- 唯一の失敗:Python 3.9 は Argon の回答をインポートできない
- Google 自身のベンチマークはどうか
- 同じテストを自分で走らせるには
- よくある質問
- Gemini 4 Argon はコーディングに向いていますか?
- Gemini 4 Argon のコーディング費用はいくらですか?
- Gemini 4 Argon は Claude Opus 5.5 より速いですか?
- なぜ Argon は1つの課題で失敗したのですか?
- 出典
- 更新履歴
Gemini 4 Argon と Claude Opus 5.5 に、同じ8つの課題を1回ずつ解かせました。隠しテストはどちらのモデルにも見せていません。Python 3.14 では両モデルとも105項目すべて通過しました。Argon の合計時間は139.6秒、Opus 5.5 は57.2秒です。各社の定価で計算すると、費用は Argon が $0.042、Opus 5.5 が $0.112 でした。
8つの課題を1回ずつ解いた結果なので、実際の挙動として読んでください。正答率では両モデルが並びました。違いは時間と料金、そして1つの回答が新しい Python を必要とした点です。Google は Argon を2026年10月13日から一般提供としており、入力100万トークン $2、出力100万トークン $10 の導入価格は11月30日までです。12月1日からは $4 と $20 に倍増します(Google の料金ページ、2026年11月4日確認)。
Gemini 4 Argon
同じ105項目を、Google の定価で8課題あわせて $0.042。どの課題でも遅く、1つの回答は Python 3.10 以降が必要です。
Claude Opus 5.5
同じ105項目を、合計57.2秒、Anthropic の価格で $0.112。8課題すべてで速い。
検証方法
2026年11月4日、各課題を gemini-4-argon と claude-opus-5-5 に送りました。1課題につき1モデル1回の呼び出しで、システムプロンプトも推論設定もありません。両モデルとも既定のレベルで実行しました。Argon は medium(Google の thinking ドキュメント、2026年11月4日確認)、Opus 5.5 も medium(Anthropic の effort ドキュメント、同日)です。課題ごとに、モデル1つにつき採点対象の回答が1つ得られます。
時間は各 API が返した呼び出しごとのレイテンシーを合計したもので、こちらの採点実行は含みません。料金は各社の定価を、API が返したトークン数に掛けて計算しました。OmniaKey でも両モデルを扱っているため、テストは1つのキーで実行しました。すべての価格は Google と Anthropic の定価です。
スクリプトは各回答からコードブロックを取り出し、どちらのモデルも見ていない隠しの unittest ファイルに対して、タイムアウト付きの独立した Python プロセスで実行しました。最初の採点はマシンのシステム Python 3.9.6 で行い、その後、保存した同じ回答を Python 3.14.3 で採点し直しました。呼び出しも費用も増えていません。
8つの課題
どれも日常業務で出てくる小さな Python の仕事です。バグ修正1つ、小さなクラス2つ、リファクタリング、パーサー、時間のフォーマッター、予定調整のヘルパー、グラフ探索です。プロンプトはどれも必要な挙動を平易な文章で説明しただけで、テストは含まれていません。
課題1:区間マージのバグを直す
merge_intervals は区間を並べ替えてマージしますが、(1, 3) と (3, 5) のように接する組を別々に残していました。比較を1か所直せば解決します。
- Gemini 4 Argon(5.6秒):12/12。
- Claude Opus 5.5(2.9秒):12/12。
結論:検査項目は引き分け。Opus は約半分の時間で答えました。
課題2:トークンバケットのレートリミッター
TokenBucket(rate_per_second, capacity) は、トークンを継続的に補充し、容量を超えず、now が過去に戻る場合にも対応する必要がありました。
- Gemini 4 Argon(6.6秒):10/10。
- Claude Opus 5.5(4.8秒):10/10。
結論:引き分け。どちらも時計の逆戻りに対応しました。
課題3:ヒット数とミス数を数える LRU キャッシュ
LRUCache には、追い出し順、その場での更新、stats() の集計、そして最も長く使われていない順にキーを並べる機能が必要でした。
- Gemini 4 Argon(7.1秒):10/10。
- Claude Opus 5.5(4.1秒):10/10。
結論:引き分け。Opus が3秒速い。
課題4:挙動を変えずにリファクタリング
モジュールはもともと動いていました。回答は slugify と slug_counts を残し、Unicode の文字、句読点、連続する区切り文字で同じ挙動を保つ必要がありました。
- Gemini 4 Argon(15.9秒):12/12。
- Claude Opus 5.5(8.7秒):12/12。
結論:引き分け。どちらも固定した全ケースを維持しました。
課題5:ログ行を dict にパースする
key=value のパーサーです。引用符付きの値、エスケープされた引用符とバックスラッシュ、UTC タイムスタンプに対応し、重複キー、値のない key=、ゴミ入力には ValueError を返します。
- Gemini 4 Argon(16.1秒):13/13。
- Claude Opus 5.5(10.9秒):13/13。
結論:引き分け。どちらも最初からエスケープを正しく処理しました。
課題6:時間の整形と解析
format_duration と parse_duration は、半分をゼロから遠い方に丸め、空の要素を落とし(3601 は 1h1s)、不正な形式を拒否し、すべての値で往復変換できる必要がありました。日は表示しません。90000 は 25h になります。
- Gemini 4 Argon(60.9秒):Python 3.9 では 0/14、3.14 では 14/14。
- Claude Opus 5.5(14.0秒):どちらも 14/14。
結論:3.14 では引き分け。3.9 では Argon の回答がインポートすらできませんでした。次の節で説明します。
課題7:会議室の空き時間を出す
free_slots は、予約を就業時間内に切り詰め、接する予約をまとめ、15分未満の空きを捨て、不正な入力を受け付けてはいけません。
- Gemini 4 Argon(18.9秒):17/17。
- Claude Opus 5.5(5.0秒):17/17。
結論:検査項目は引き分け。Argon は4倍近い時間がかかりました。
課題8:同点時の規則付き最短経路
shortest_path は Dijkstra を使い、同じ長さの経路の中では辞書順で最小のものを選び、平行辺、自己ループ、経路なしのケースにも対応する必要がありました。
- Gemini 4 Argon(8.5秒):17/17。
- Claude Opus 5.5(6.8秒):17/17。
結論:引き分け。8課題で最も差が小さい勝負でした。
結果:通過数、時間、料金
Python 3.14 では両モデルが105項目すべて通過しました。Python 3.9.6 では Argon が91項目でした。1つの回答がインポートできなかったためです。
| 課題 | 項目 | Argon | Opus 5.5 | Argon 秒 | Opus 秒 |
|---|---|---|---|---|---|
| 区間マージの修正 | 12 | 12/12 | 12/12 | 5.6 | 2.9 |
| トークンバケット | 10 | 10/10 | 10/10 | 6.6 | 4.8 |
| LRU キャッシュ | 10 | 10/10 | 10/10 | 7.1 | 4.1 |
| slugify のリファクタリング | 12 | 12/12 | 12/12 | 15.9 | 8.7 |
| ログ行のパース | 13 | 13/13 | 13/13 | 16.1 | 10.9 |
| 時間の整形 | 14 | 14/14 | 14/14 | 60.9 | 14.0 |
| 会議室の空き | 17 | 17/17 | 17/17 | 18.9 | 5.0 |
| 最短経路 | 17 | 17/17 | 17/17 | 8.5 | 6.8 |
Opus 5.5 はどの課題でも速く答えました。差が最も小さかったのはグラフ探索(8.5秒対6.8秒)、最も大きかったのは時間の整形(60.9秒対14.0秒)です。
定価では、8課題の費用は Argon が $0.042、Opus 5.5 が $0.112 で、約2.7倍です。Argon の回答は入力3,346トークン、出力3,525トークンを使いました。Opus 5.5 は4,419と4,692です。どちらの API もすべての呼び出しで thinking トークンを0と報告したため、思考による追加料金はありません。
Google の定価は、2026年11月30日まで入力100万トークン $2、出力100万トークン $10 で、その後は $4 と $20 です(Gemini API の料金、2026年11月4日確認)。Anthropic の Opus 5.5 の定価は $4 と $20 です(Anthropic の料金、同日)。12月1日からは同じトークンが Argon では2倍になり、差は縮まります。両モデルの料金は料金ページにあります。
8つの課題では、2つのフロンティアモデルの品質に差をつけられません。選ぶときは速度、価格、そしてテストを動かす Python のバージョンで決めてください。
使った人の声
公開コメントにもこの分裂が表れています。Hacker News の10月31日の投稿で、A_D_E_P_T はこう書いています。「Gemini 4-Argon is very good at coding. I prefer Opus 5.5 -- in large part because I've grown accustomed to Claude Code -- but Argon is undeniably strong.」10月28日の投稿で seizethecheese はローカルのコーディングエージェントについて「Argon is really bad. Literally the worst model in our initial ranking」と書き、Opus 5.5 を1位にしています。10月13日の投稿で ariwilson は、Argon が自分のプロジェクトの小さなバグ修正を「10 of 11」解いたと報告しています。
いずれも各自の環境についての感想で、統制されたテストではありません。否定的なコメントはエージェントのハーネスを試している人によるもので、API を直接呼ぶ今回の条件とは違います。
唯一の失敗:Python 3.9 は Argon の回答をインポートできない
Argon の時間整形の回答は、ヘルパー関数に float | int | Decimal という型注釈を付けました。Python 3.9 はインポート時にこれを評価できず、モジュールは TypeError: unsupported operand type(s) for |: 'type' and 'type' を出し、14のテストは実行前にすべて失敗しました。
ロジックに問題はありません。同じファイルは Python 3.14.3 では正常にインポートされ、14項目すべて通過しました。このユニオン構文には Python 3.10 以降が必要です。
スコアはインタープリター次第です。マシンのシステム Python 3.9.6 では、Argon は105項目中91項目、Opus 5.5 は105項目でした。3.14 ではどちらも105項目です。
サーバーイメージや CI のマシンがまだ3.9なら、ここが落とし穴です。習慣を2つ守れば避けられます。プロンプトに Python のバージョンを書くこと、そしてサポートする最も古いバージョンで採点することです。3.9 が対象なら、Union[float, int] を指定するか、ファイルの先頭に from __future__ import annotations を書かせてください。
Google 自身のベンチマークはどうか
Google の Argon のモデルカード(2026年11月4日確認)には、コーディングとセキュリティの節から、Opus 5.5 の数値が付いた5つのテストが載っています。Argon が3つで上回り、2つで下回ります。
| ベンチマーク | Gemini 4 Argon | Claude Opus 5.5 |
|---|---|---|
| DeepSWE v1.1 | 77.9% | 74.2% |
| FrontierSWE v2 | 55.0% | 62.3% |
| Vibe Code Bench | 91.9% | 90.3% |
| Terminal-bench 4.0 | 57.4% | 66.4% |
| CWE-bench v1 | 68.0% | 67.0% |
数値の日付は2026年10月です。これらの行の Notes 列は空で、thinking レベル、ハーネス、試行回数は書かれていません。テストも今回の小さな関数よりエージェント寄りです。
Google は10月13日の発表記事で、コーディングを含む Vals Index で首位だと述べ、Antigravity 内のエージェントによるコード提出が35%以上増えたと報告しています。どちらも Google 自身の数字です。
10月23日のGPT-6 Astra との3課題比較では、Argon は請求バグの修正で隠しテスト12項目すべてを通過しました。あの課題も今回の課題1も全問正解で、新しい結果とも一致します。
同じテストを自分で走らせるには
課題ごとにプロンプトファイルを1つ用意し、そのまま両モデルに送るだけです。使用したエンドポイントは https://api.omniakey.com/v1 で、両モデルは Gemini 4 Argon と Claude Opus 5.5 のモデルページにあります。
import os
from openai import OpenAI
client = OpenAI(
base_url="https://api.omniakey.com/v1",
api_key=os.environ["OMNIAKEY_API_KEY"],
)
prompt = open("task6-duration.md").read()
for model in ("gemini-4-argon", "claude-opus-5-5"):
reply = client.chat.completions.create(
model=model,
messages=[{"role": "user", "content": prompt}],
max_tokens=8000,
)
open(f"{model}.md", "w").write(reply.choices[0].message.content)
- 各課題をプロンプトファイルとして保存し、システムプロンプトなしでそのまま送り、両モデルに同じ文面を渡します。
- 各プロンプトをモデルごとに1回、既定の thinking レベルで送り、モデル ID、時間、トークン数を記録します。
- 各回答からコードブロックを切り出し、テストがインポートするモジュールとして保存します。
- 隠しテストを別プロセスでタイムアウト付きで実行し、通過数と総数を並べて出力します。
- サポートする最も古い Python で採点をやり直します。Argon の唯一の取りこぼしは3.9の実行で出ました。
- 返ってきたトークン数と各社の定価から費用を計算します。
よくある質問
Gemini 4 Argon はコーディングに向いていますか?
今回の8課題では、Python 3.14 で隠しテスト105項目すべてを通過しました。Opus 5.5 も同じです。Google 自身の表では、Argon は5行のうち3行で上、2行で下です。
Gemini 4 Argon のコーディング費用はいくらですか?
Google は入力100万トークン $2、出力100万トークン $10 を2026年11月30日まで適用し、その後は $4 と $20 にします。今回の8課題は導入価格で $0.042 でした。Opus 5.5 は Anthropic の $4 と $20 で $0.112 です。
Gemini 4 Argon は Claude Opus 5.5 より速いですか?
いいえ。今回のテストでは Opus 5.5 が8課題すべてで速く、合計57.2秒でした。Argon は139.6秒です。差が最も大きかったのは時間の整形で、14.0秒対60.9秒でした。
なぜ Argon は1つの課題で失敗したのですか?
失敗したのはインポートで、ロジックは正しいままでした。時間の回答が float | int | Decimal の注釈を使い、Python 3.9 がインポート時に評価できず、14のテストが実行前に落ちました。同じファイルは Python 3.14 で14項目すべて通過します。
出典
- Gemini 4 Argon モデルページ
- Gemini API の料金
- Gemini API の thinking レベル
- Gemini 4 Argon モデルカード
- Gemini 4 Argon 発表記事
- Vertex AI の Gemini 4 Argon
- Anthropic API の料金
- Claude Opus 5.5 の概要
- Anthropic の effort 設定
いずれも2026年11月4日に確認しました。
更新履歴
- 2026年11月4日:初回公開。テストは11月4日に実行し、Python 3.9.6 と 3.14.3 で採点しました。
この記事で紹介しているモデル
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