Liquid AI d1 APIとローカル実行を比較
入力の種類、費用、実行環境から決定モデルを選びます。
分類、はい・いいえの判定、スコア付けが必要なアプリでは、Liquid AI d1が評価候補になります。 ホスト型の d1 APIは入力100万トークン当たり0.04米ドルで、出力トークンを生成しません。ローカル向けの d1-3B はテキストと画像に対応し、小型の実験モデル d1-omni-600M は音声も扱います。同じシリーズでも、品質が同じとは限りません。
モデルサーバーを運用せずに用途を検証するならAPIから始められます。オフライン動作、データの送信先、端末上の遅延が重要なら公開ウェイトを検討します。このAPI単価では、トークン代の削減だけで自前運用の費用を回収できるとは限りません。
資料確認日:2026年10月8日。 本記事は公式ドキュメント、モデルカード、ライセンスに基づく分析です。有料API呼び出しやローカル推論の実測は行っていません。性能値は提供元の公表値、費用例は計算値です。リンク先の公式資料は英語です。
d1でできること
Liquidは10月5日にホスト型モデル、2026年10月7日に公開ウェイトを発表しました。回答をトークンごとに生成せず、1回の順伝播で型の決まった判定を返します。
noul:返金要求かどうかなど、「はい」の確率を返します。choice:あらかじめ定義したカテゴリから選び、各選択肢の確率を返します。score:定義済みの順序付き尺度について、確率で重み付けした値を返します。
問い合わせの振り分け、検索結果の再ランキング、テキストや画像のチェックに向いています。コード、要約、自由文の説明を作る用途には生成モデルが必要です。この区分は移行ガイドにも記載されています。別の決定APIについては、独自の接続仕様を扱う Jevガイドも参照できます。
3つの選択肢の違い
| 比較項目 | ホスト型d1 | d1-3B | d1-omni-600M |
|---|---|---|---|
| 提供形態 | Liquid API | ウェイトをダウンロード | ウェイトをダウンロード、実験版 |
| 入力 | テキストと画像 | テキストと画像 | テキスト、テキスト+画像または音声 |
| パラメータ数 | 確認した資料では非公表 | 31.2億 | 5.87億 |
| ローカルのコンテキスト | 該当なし | 32,768トークン | 合計16,384位置 |
| 費用 | 課金対象の入力トークン | 機器、運用、適用されるライセンス | 機器、運用、適用されるライセンス |
| 評価の重点 | すばやい接続 | ローカルでのテキスト・画像判定 | 小型化と音声判定 |
600Mのモデルカードには制限があります。1リクエストでは画像か音声のどちらか一方を使い、両方は渡せません。画像を使う場合、状態と質問のテキストは 896トークンに切り詰められます。音声は 16 kHzのモノラルで最大30秒。訓練は英語話者とアシスタントのやり取りに基づくため、日本語音声の精度保証や文字起こしサービスとは解釈できません。
LiquidのDecision Index 0.2.1公表値は d1-3Bが48.57、d1-omni-600Mが15.95です。公式採点器を使った値で、ランキングへの提出結果ではありません。品質重視なら大きいモデルから評価する根拠にはなりますが、すべての分類で優れることやホスト型 d1 との同等性は示していません。
0.04米ドルの料金で何が課金されるか
公開時の評価方法には入力100万トークン当たりの単価が記載されています。API仕様では、各質問について、そのテキストと送信したすべての画像が課金対象です。複数質問を1回のHTTPリクエストにまとめても、共通入力の課金が1回になるわけではありません。
10万リクエスト、質問ごとに課金対象1,000トークンと仮定すると、次の計算になります。
- 1リクエスト1問:100,000 × 1,000 ÷ 1,000,000 × 0.04米ドル = 4米ドル。
- 1リクエスト3問、各問1,000トークン:12米ドル。
税金やその他の費用は含めていません。質問の長さや再試行で合計は変わるため、usage.input_tokens を確認します。JSONが返ってきても usage.output_tokens はゼロです。
画像1枚・質問1問当たりの入力は ceil(ceil(width / 32) × ceil(height / 32) × 1.5) です。1024 × 1024画像は1,536トークン、0.00006144米ドルとなり、別途テキストが加わります。3問なら画像分だけで4,608トークンです。これは画像理解の費用であり、画像生成料金やOmniaKeyの見積もりではありません。
ローカル実行は安くなるか
機器の減価償却やレンタル、電力、開発工数、監視、必要なライセンス、誤判定への対応まで月額で比較します。無料でウェイトを入手できても運用費は残ります。
たとえば月50米ドルという仮定のローカル費用は、ホスト型の12.5億入力トークンに相当します。計算は50 ÷ 0.04 × 1,000,000です。1リクエスト1,000トークンなら125万リクエストに当たります。機器価格の見積もりでも、モデル品質が等しいという証明でもありません。
オフライン動作、データ管理、端末遅延が目的なら、それより少ない処理量でもローカルを選ぶ理由があります。比較指標は総運用費 ÷ 合格した判定数とし、誤判定と人の確認回数も残してください。
ライセンスとハードウェア要件
両モデルは LFM Open License v1.0です。ライセンスガイドは、年間売上1,000万米ドル未満の商用利用を無料とし、上回る場合は別途商用ライセンスが必要と説明しています。境界額での適用は原文に照らしてLiquidへ確認してください。再配布ではライセンスや帰属表示、該当するNOTICE、変更ファイルの明示も必要です。下流の商用利用者も自らの条件を確認します。d1-3Bと600Mの原文を読み、無制限のApache-2.0と同一視しないことが大切です。
パラメータ数×2バイトで求めた16ビットのウェイトのみの容量は、十進単位で約 6.24 GBと1.174 GBです。最低RAM・VRAM容量ではありません。実行時バッファ、活性値、メディア処理、バッチで追加メモリを使います。量子化は容量だけでなく品質にも影響し得ます。
3Bモデルカードでは、ウォームアップ後の1問処理が RTX 4090で8 ms、Apple M5 Proで30 ms。3.4Kトークンの状態では 102 msと640 msになります。RTXの値はコンパイルを使用しています。特定条件の提供元測定であり、コールドスタートやAPI遅延の保証ではありません。実験版600Mの推論時間は公表されていません。
API呼び出しとローカル起動
ホスト型は POST /decisions/v1/systemone を使い、Chat Completionsとはリクエスト構造が異なります。Liquidのコンソールで作成したキーを LIQUID_API_KEY に設定します。以下は共通の英語問い合わせ例で、実行すると課金対象の呼び出しになります。
curl --fail-with-body https://api.liquid.ai/decisions/v1/systemone \
-H "Authorization: Bearer $LIQUID_API_KEY" \
-H "Content-Type: application/json" \
-d '{
"model": "d1",
"state": "Please refund the duplicate charge.",
"questions": {
"refund": {"type": "noul", "instructions": "Is a refund requested?"}
}
}'
確率は answers.refund.noul から取得し、業務の正解付きデータで閾値を決めます。画像入力はBase64データで指定し、外部画像URLは使えません。
ローカルでは d1に対応した新しいllama.cpp を用意し、公式GGUF手順で起動します。
llama-server -hf LiquidAI/d1-3B-GGUF:Q8_0
別のターミナルから呼び出します。
curl --fail-with-body http://127.0.0.1:8080/v1/systemone \
-H "Content-Type: application/json" \
-d '{
"state": "Please refund the duplicate charge.",
"questions": {
"refund": {"type": "noul", "instructions": "Is a refund requested?"}
}
}'
小型モデルを試す場合は先のサーバーを停止し、600Mの手順を使います。
llama-server -hf LiquidAI/d1-omni-600M-GGUF:Q8_0 -b 4096 -ub 4096
バッチサイズには質問全体が収まる必要があります。長い状態では最大16,384まで増やすようモデルカードに記載されています。コマンドは資料と照合したもので、本記事では推論を実行していません。モデル、量子化方式、実行環境のバージョンを記録してください。
最初に評価するモデルは
接続環境があり、処理量が小さいか未確定ならホスト型d1から始められます。ローカルのテキスト・画像判定なら、公表比較を踏まえて d1-3B を先に評価します。音声や小型化を優先し、実験版の制約を許容できるなら d1-omni-600M を別枠で検証します。
同じ正解付きタスク、カテゴリ定義、合格条件で、誤振り分け、見落とし、p95遅延、最大メモリ、人や別モデルに回す頻度を測定します。確率が返るだけでは別の言語やデータでも信頼できるとは限らず、校正の確認が必要です。
OmniaKeyのモデル一覧にはゲートウェイの現行モデルと料金を掲載しています。本記事で確認したのはLiquid公式とローカルの選択肢であり、OmniaKeyでのd1提供を意味しません。判定に続く生成処理は、掲載モデルから別途比較できます。